2020年50冊読破目標の13冊目。
凪良ゆうさんの『流浪の月』(東京創元社 2019)読破。
おそらく、この本の中に出てくる更紗と文のような人は、現実社会では少数派だと思う。
『中途半端な優しさや理解が私を苦しめる。』
多数派の人が少数派の人に優しくしたり、理解しようとすることが悪いことでもない。むしろ、そういう優しさを持つ人がいることはいいことだと思う。
しかし、どれだけ少数派の人の真実に迫れるだろか。真実に迫れないでかけられる言葉や、優しい態度というのは、逆にその人を苦しめることがある。
『事実と真実は違う』
事実は外からでも見える。しかし、真実は当事者にならないとわからない。
事実しか見えないからこそ、優しさや理解が中途半端になることもあるのかもしれない。
だからといって、優しさや理解しようとすることを周りの人がやめてしまうと、それはそれで少数派が苦しくなる。
難しい。矛盾する。
少数派の人たちが求める理解や優しさは、多数派の人たちがいくら理解しようとしても、優しくあろうとしても無理なこともあるのかもしれない。それを知っていることが、本当の優しさや理解につながるのかもしれない。
それでも、少数派が多数派の優しさや理解をどう感じるかという視点からの想像力は得られたと思う。
- 作者:凪良 ゆう
- 発売日: 2019/08/29
- メディア: 単行本