先日読破した有田和正先生の本の中に、教材開発、教材研究について書かれている部分があった。
その中の1つを引用する。
(引用開始)
教材開発、教材研究では、ホームランをねらってはいけない。それなのに「一発ねらい」をする人が多い。教材開発強化法は、コツコツと努力を積み重ねていくことだ。
(引用終了)
毎日の試合でホームランを打てるプロ野球選手はいない。もちろん、ここぞというところでは、ホームランをねらうのだろうが。
ホームラン数が30本のA選手と、ホームランが20本のB選手を比べた時に、「一発」の数を見ると、A選手が多いが、ヒットを含む打率はB選手の方がいいということもある。
プロなのだから、打率10割というのは当たり前かもしれないが、ピッチャーも打たせない球を投げるプロである。プロ同士の対決なのだから、どうしても、10割とはいかない。
では、教師の話。
日々の授業中に毎時間ホームランを打つことは難しい。できる先生もいるかもしれないが、今の自分にはできない。
おそらく、これができる方はほとんどいないのではないかと思う。結果を出されている先生や優れた実践を行われている先生方は、ヒットを積み重ねているのではないのかと思う。もちろん、代名詞となるようなホームラン授業をできる先生もいる。
野中信行先生が提案されているご飯と味噌汁の授業は、ヒットを毎時間打てるがような授業ではないかと思う。
ホームランを打てる教師でなくても、ヒットを毎時間確実に打てる教師でありたい。そういう授業を今の自分の段階では目指すべきだと思った。
ヒットも打ててないのに、ホームランを狙った教材開発、教材研究を行なっていた。だから、毎時間の授業を創るのが苦しかったのだと思う。
もちろん、ヒットを打つことも簡単ではないが、ホームランに比べるとハードルが下がる。いきなり「一発」をねらわず、コツコツとヒットを打てる力量を身につけられるようになりたい。
こう考えると、少し肩の力が抜ける。それは、気が抜けるということではなく、いい余裕が生まれるということである。この余裕があれば、授業を考え、創るのが楽しみになる。子どもたちのことをより考える余裕が出てくる。発問の言葉や、発問に至るまでの布石をより子どもたちの感覚に近づけられる。