2020年50冊読破目標の7冊目です。
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有川さんが書かれた『イマジン?』の中に登場していたので、読もうと思った。もともとこの本の存在は知っていた。
『イマジン?』の中の第一章が、この『空飛ぶ広報室』の撮影現場の話。当たり前だけど、重なる部分もあって、『イマジン?』の中に出てきたなとか思いながら読み進めた。
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自衛隊というだけでマイナスイメージを持つ人もいる。その人たちに自衛隊とは、自衛官とは何か知ってもらい、ちょっとでも認知度を上げること、ちょっとでも身近に知ってもらおうとすること、そのために、どんな広報活動を行うべきか、何をすればいいのか、本当に広報って大変だなと思った。
自分の中では、どうしても武器を持っている姿や災害救助にあたる自衛官の人たちの姿が思い浮かぶ。
そういう人に対しても、広報室のメンバーは自衛隊員の人としての一面を広報しようとする。「自衛隊も皆さんと同じ1人の人なんですよ」自衛隊員というだけで、一般人の人からの見方は変わる。でも、「同じ1人の人」という見方をしてもらいたい。そういう思いに、そうだよなと思った。
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家族が被災していても、無事の確認だけ取ったら会わずに全く知らない人たちを助けるために働く。寝る時間も惜しんで現場に向かおうとする隊員、松島基地の航空機を震災や津波の被害から守るためにギリギリまで奮闘する隊員の姿、震災の現場で悲しいことがあっても、感情を出すことを堪えなければいけないこと、本当に知らなかったことばかり。
前線で任務に就く隊員も、広報を仕事にする隊員もそれぞれが頑張っているんだなと思った。
平時の時と有事の時の様子がそれぞれ本の中で描かれていて、そこが良かったなと思った。
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登場人物たちはモデルになった人たちが実在するらしい。
実際にこうやって頑張っている人たちがいることを知れた。
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最後に、有川さんの後書きから引用。
(始まり)
東日本大震災後の取材の途中で「すみません」と謝りながら涙ぐむ人が何人もいました。「悲しいわけじゃないんですけど、大丈夫なんですけど、何でか急にこうなっちゃうんです」と。悲しくないわけがなかったろうと思います。大丈夫だったわけがないだろうと思います。彼らが未だにふとした拍子に涙するのは、一番大変な時に一番大変なところへ、私たちの代わりに駆けつけてくれるからです。私たちの代わりに被災地に手を差し伸べてくれるからです。一番悲しみの溢れる場所へ赴いて、彼らはその悲しみに立ち会うのです。しかし、彼らは決して当事者のような顔をしません。立ち会っているだけだから悲しむ資格はないと自分の涙を詫びるのです。一体何という清廉な人たちに私たちは守られているのだろうと思います。皆さんに等身大の彼らが届くことを祈っています。私たちと何ら変わりありません。しかし、有事に対する覚悟があるという一点だけが違います。その覚悟に私たちの日常が支えられていることを、ずっと覚えておきたいと思います。
(終わり)
もう少し自衛隊についていろいろ知りたいと思ったので、調べてみようと思う。

- 作者:有川 浩
- 発売日: 2016/04/12
- メディア: 文庫